ミュージカル「タイタニック」結末を知っているからこそ面白い
こんにちは。もかです。
ミュージカル「タイタニック」を観劇してきました。
大阪・梅田芸術劇場ドラマシティまで観劇遠征です。
タイタニック、前評判がすごくいいのでかなり期待して観ましたが、はるかに期待を超えてくれました!
今回はタイタニック観劇レポをお届けします
この物語は悲しい結末を誰もが知ってるからこそ作る側からしたらすごく難しい作品なんだろうなと思います。
この記事では、極力ネタバレのないよう努めますが、「豪華客船タイタニックが氷山にぶつかり沈没。大勢の犠牲者が出る。」ということは、事前にネタバレさせていただきます。
まあ、タイタニックに興味がなくても、ミューオタじゃなくても、沈没するってことは知ってますよね?笑
開演前
この作品は、開演前からすでに芝居が始まっています。
#ミュージカルタイタニック 🔆大阪公演初日🔆
— ミュージカル タイタニック@公式 (@MusicalTitanic) 2018年10月17日
出航予定時刻は
🚢18:30✨
開演時間前(開場後)よりお芝居開始しております!
また、開演時間を過ぎますと、約25分間お席にご案内できません。
どうぞお早めにお越しください。
🔽当日券・公演に関するお願い等https://t.co/kOuKzzvJul pic.twitter.com/osriSL0P6G
ホール内に入ると、すでに舞台にはタイタニックの設計士である加藤和樹さんのお姿が。
タイタニックを心から愛し、一生懸命考えて設計したんだろうなと感じました。
開場直後から開演ぎりぎりまで約30分間ずっと無言のお芝居がありますので、タイタニックを観に行かれる方は開場前にトイレなど済ませておくことをオススメします。
開演直前には、乗船のためのご挨拶があります。
内容は観劇マナーに関する注意事項ですが、私たちもタイタニックに乗船するかのような素敵なアナウンスですので、お聴き逃しなく!!
アナウンスが始まったらおしゃべりはやめましょうね!
1幕
1幕冒頭では乗員乗客みんなが夢を抱き、希望に満ちていました。
豪華客船の処女航海。「絶対に沈まない安全な船」と誰もが信じて疑わず、新しい時代の幕開けだと人々が期待を膨らませています。
キャストの歌声も明るく、みんなの夢を乗せ、みんなに愛されたタイタニック号でした。
”絶対に沈まない船”が無残な姿で沈むことを知っているので、人々の明るさや希望がとても切なかったです。
特に印象的だったのは、機関士役の藤岡正明さん
藤岡正明さんは初見だったのですが、藤岡さんのロングトーンには圧倒されました。
声の存在感がすごい。
今回のタイタニックはキャストが豪華でみなさんかなりの歌ウマさんですが、その中でも圧倒的な歌唱力でした。
藤岡さんの歌うパートはロングトーンが何度も連続で出てくるんですが、もう毎回ロングトーンのたびに「うまっ!!」って思ってました。
言葉で表現するのが難しいですが、藤岡さんの声は響きがすごく高くて、アンサンブルが違う歌詞で歌っててもうまくホールに全体に抜ける感じです。
カリスマ性のある存在感で特異な人だと感じました。
初見でしたが藤岡さんの虜になりました。
タイタニックの話に戻ります
1幕では出航直後から船のオーナーが調子に乗って暴走し始め、沈没までのレールがどんどん引かれていきます。
はじめは安全第一と言っていた船長もオーナーからのプレッシャーを受けて、船の速度をどんどんあげるわ、氷山の警告は無視するわ。
「あー!だれか危険性に気付いてよ!!」ってもどかしいシーンがたくさんありました。
残酷な結末に向けてゆっくりと船が進んでいきます。
でも誰も気付きません。1等客たちは優雅にディナー、3等客はアメリカへの夢を語りあい、みんなが穏やかに夢のような時間を過ごします。
そして、1幕の終わりでとうとう氷山が!
1幕の終わり方が私たち観客にとっても衝撃的で、息を飲みました。
私は口がぽかーんと空けて舞台を見つめていました。たぶん他のお客さんもそんな感じだったんだと思います。
劇場内が完全に暗転し、すこしタイムラグがあってからまばらに拍手が始まり、大きな拍手に変わり1幕が終了しました。
結末を知っている私たちでも、氷山にぶつかるというのはやはり衝撃的です。
2幕
2幕は急にはじまります。
会場スタッフが注意事項を話しながら客席通路を歩き始めたら、ケータイはOFFにして観劇する体制を整えましょう。
1幕はゆったりとしたテンポでストーリーが進んでいきましたが、2幕はかなりテンポよく見どころたっぷりで展開されます。
1等客はタイタニックに大きな事故が起こったなんて誰も予想していません。
全員分の救命胴衣が準備され、「念のためですから。」という給仕係。
まだまだ1等客の中では時間がゆったりと流れます。
ですが、それに引き代え、3等客は違います。
船の衝撃を強く感じ、早い段階で浸水にも気付き、パニックに。
甲板に逃げたいのに、通路には鍵を掛けられ逃げることすらできません。
悲壮感がすごいです。
1等客の余裕と3等客のパニックの対比も見どころの一つです。
同じアンサンブルキャストが早替えをして演じていますが、まったく雰囲気が違います。
階級社会の残酷さを感じました。
タイタニックの運営側も大混乱です。
船が沈没に至るとわかり、責任の押し付けあい!
「誰のせいなんだ!」と怒鳴り合いです。
イケボイスのおじさん3人(1人はまだお兄さんかな?)がとにかく怒鳴りあいながら歌い上げるシーン。
それぞれの気持ちがぶつかりあい、めっちゃ迫力あります!
自分に後ろめたい気持ちがあるからこそ、他人に強い言葉をぶつけないと気持ちを処理することすらできないんだろうなと感じました。
莫大なお金をかけて準備し、自信を持って出向させた船、そして2200人以上の命の危機。
とてつもない自責の念が隠されています。
ほんといい場面です!!
このあとは、みなさんご存じの展開。到底、涙なしには観れません。
死を受け入れる者、パニックになる者、責任を取り自ら命を絶つ者など、多様な最期を迎えます。
そして、パニックからの恐ろしいほどの静寂。
ボートに乗り込むことができ、助かった人間の悲痛の思いが、観ていてほんとに辛かったです。客席も静まり返り、虚無感が押し寄せました。
この場面の”あの人”の表情に注目してほしいんですが、これはネタバレになるので伏せておきますね。
ご自身の目で確認してください。観ればきっとわかります。
なんとも言えない悲しい表情をしています。魂を抜き去られたような表情でした。
他のキャストも一人ひとり良い表情でしたが、”あの人”はほんとにすごかったです。
こんな感じであっという間の駆け抜けるような2幕です。
2幕は歌うシーンも多いし、死を迎える側、残される側それぞれにひとつひとつのドラマがあり、そこが丁寧に描かれているのでかなり感動的でした。
まとめ
全体的な感想としては、しっかりとした力をもった俳優さん、女優さんがキャスティングされているので誰が歌っても、誰が語っても作品に込められたメッセージがしっかりと客席に届けられます。
ミュージカルって、人が死ぬ作品が多いですよね。
この作品もたくさんの人が死を迎えますが、人の生き様、死に様を描くことで命の大切さを訴えているんだと思います。
今後も、何度も再演して、ひとりでも多くの人に届いてほしい作品だと思いました。
ちなみに、まだ若干枚当日券もあるそうなので興味のある方劇場へお急ぎください。
2018年10月22日に千穐楽です。
もか